賃貸か?購入か?


最近Spotifyという音楽ストリーミングを利用し始めました。好きな音楽を登録して、ストリーミングして聴けるのが特徴。とにかく対応しているアーティストの数が多く、自分の好きなものも殆ど見つかりました。そして一部利用制限はあるものの、無料で聴けるというのも凄い。ということでiPhoneのiTunesに入れている殆どの曲を消去し、15GBぐらいの容量を空けることができ、これだけでかなり身軽な気分になったわけです。


そこで改めて実感したのは、いよいよモノを所有する時代では段々無くなってきているということです。音楽もそうですし、カーシェアリングも一般化し最近は服を毎月定額でレンタルできるサービス等も出てきています。数年前に断捨離という言葉が生まれたように、所有を減らすことで、身も心も軽くするという考えが徐々に浸透してきています。そして、それで余ったお金を"コト消費"、旅行やイベントや"インスタ映え"する食事などに使う、これが現代の志向と言えます。


では、家はどうなんでしょうか?周りを見ると「いずれは買いたい」という方がまだまだ多いようです。僕もいつかは持ってみたいとは思います。実際にお客さんに「賃貸と売買どちらが良いと思いますか?」と聞かれることがありますが、「すみません。わかりません!」と答えます。何故なら正解がないからです。「保険に入る入らないに正解・不正解は無いですよね?未来のことなんて誰にも分からないですからね。それと一緒です」と付け加えます。最終的には個人の価値観次第、ということなのでしょうが。


但し、判断する上で、認識しておかなければいけないことはあります。それは、3つ。


①徐々に所有の時代ではなくなってきている。

②人口が減り、空き家が急激に増える。

③購入したその家は、自分たちが住まなくなっても収益を生むのか?


①については前述した通り。30年ほど前、私たちの親の世代は「家は買うもの」という考えが大多数でした。その考えの元で育った自分たちが大人になると、その考えを踏襲した人たちと、特に所有に拘らない人たちに分かれてきています。では、その自分たちの世代が生んだ子どもたちが大人になったらどうか?割合が逆転し「所有しない」という選択をする人の方が大多数になっている可能性もあります。


②については現在16%程度の空き家率が、2035年には30%になると言われています。更に先日、日本国内で所有者不明の土地を合わせると九州ほどの面積になるという驚きの報道もあり、実際に家も土地も余っているわけです。「どうせ誰も住まないんだから、あげる」という人や、もしかしたら「お金払うから、住んでくれ!」という人もまだごく少数ですが存在しているようで、そういう人が増加していく可能性も高いです。


とは言え、「家賃を払わなくていい」など、購入するメリットも沢山あり、購入派を否定するわけではありません。そこで、購入派の方は③を十分に吟味したほうが良さそうです。30年前と異なり、終身雇用の概念も無くなっていますし、その他予測のできない事情でそこに住むことができなくなった場合、ローンを組んでいる方なら特に、この家は賃貸としての価値もあるのか?を指標とした方が良いですね。


ちなみに、家を購入する際、どうしても想定される家族の最大人数を元に間取りや広さを決めたりすると思いますが、ではその最大人数で暮らす期間が何年間なのか?というのも加味した方が良さそうです。例えば夫婦2人に子供が12,9,5歳の3人としましょう。とするとその家に5人マックスで暮らす期間は6年間、更に13年後には夫婦2人のみとなる可能性があります。その6年の為に5人用の大きな家をわざわざ35年ローン組んで購入するとしたら、それは個人的な感覚からするとちょっと勿体無いなぁという気もします。


つまり、買う借りるは正解がなく個人の価値観に依るところですが、目の前の欲に流されずに、考えうるリスクを最大限想定して判断することが大事なのではないでしょうか。


それにしても、「住まなくなった家があるから貰ってくれ」のような投稿がジモティあたりに出てきたら、それはそれで面白そうですね。


(オオサキ)