「ヤタラセカス不動産」


最近、物件探しのお手伝いをさせて頂いているお客さんとのやり取りで、色々思うことがありました。


たまたま、そのお客さんが某ポータルサイトで見つけてこられた物件が、他社紹介不可の物件、いわゆるクローズ物件といわれるものでしたので、直接行かれてみてはいかがですか?とお伝えしました。


その後感想をお聞きしてみたところ「物件自体は悪くなかったです」とのこと。「よかったじゃないですか」と言ったのですが、なぜか不安そう。聞けば、やたらと決断を急かし、更に条件を譲歩してくるのが逆に心配だというのです。


「人気物件ですぐ埋まる可能性があります」

「すぐに連絡をください」

というコメントがあり、更にその他条件面も大幅に譲歩してきたとか。


なんとなくお気づきだと思うのですが、人気物件なのに条件を大幅に譲歩してまで即決を迫る点に違和感はあります。お客さんが不安になるのも無理ないですよね。


お客さんに急ぐことを推奨すること自体は悪いことだとは言いません。それが本当にお客さんのためになるのであれば。


私も、条件や相場的に物件が本当にすぐ無くなりそうと思った時「もしご興味あるなら、お早めにご検討頂いた方がよいとは思います」と伝えたり、オーナーの事情など特段の理由があれば「先方がこういう事情で回答を急いで欲しいと仰っています」とそのまま伝えます。


しかし、これを嘘や当てずっぽうで常套句にしてしまうと、いざと言う時に信用されません。


それに加え私が感じたのは、巷でよく聞くようなこういったベタな営業手法、きっとその不動産業者のマニュアルなんでしょうけど、まだまだあるんだなということです。


私のような殆ど頂いたご紹介の範囲で営業する場合、そのお客さんといかに永くお付き合いできるか?が目的でありモチベーションであったりします。しかし、例えばですが駅前やポータルでガンガンに集客するような会社で日々ノルマに追われるような営業マンですと、その日その月が勝負、いかに少ない労力で高い数字を上げるかに注力していますよね。


私も効率いい方が良いと思いますし、若い時は、不動産業ではないですが一時期そういった会社に居たことがあったので、そのような方向性の仕事があるというのも理解できますし、それが絶対に悪だとは思いません。私はただただ疲弊して終了しましたが。


色々経験した結果感じたこととしては、結局のところ自分のスタンス次第。つまり自分がどうなりたいかってことに尽きるんですよね。


私は前述のように永いお付き合いをしていきたいからそうする。なぜならその方が幸せで楽しいから。そうではない、若いうちにガンガン稼ぎたい人ならそういう評価軸の会社で働く。お客さんは自分に合う方を選んでいく。シンプルなものです。


もう少し掘り下げると、即決営業が効率良いのかどうかというのも、その人のスタンス次第で判断が分かれるところです。


新規のお客さんを急かして早期で売上を上げ続けるというのも短期目線では効率が良いですが、急かしすぎた反動で信頼を失い、ずっと新規を追い続けなくてはいけなくなると考えれば、それは首を傾げざるを得ない。


正直な話、営業に限らず不動産業全般において効率を意識していても大体は成果無しで終わります。先日も某土地の調査に約1日かけましたが、結局売り物としては厳しいという結論でした。


しかしこの動きが決して無駄ではなく、そのエリアの相場や都市計画について知れたり、関連する宅建業法的な部分を思い出すことができたので、その機会を頂けた方には大変感謝しています。そして、意外にも近いうちに別の機会で、今回得た情報・知識・経験がパッとすぐ役に立ったりするから不思議なんですよね。


この担当者はどのようなスタンスで仕事しているのか。そのサービスを受けて自分はどうしたいのか。これは不動産に限らず常に冷静になって考える必要があると思っています。