渡辺通のスモールなオフィス・店舗物件「watanabeCenti(渡辺サンチ)がついに満室に

 随分と前の話にはなりますが、2020年1月に古い店舗戸建をリニューアルOPENした「watanabeCenti(渡辺サンチ)」がようやく今年3月に満室となりました。


 きっかけは、「とりあえず物件を購入してしまったが、プランが決まっていない。何か面白いことをやりたいので提案してもらえないか」というオーナーからのWEB経由でのお問い合わせ。

 

 そこから当社ではコンセプト決めから、間取り・収益計算・リーシング計画・募集・案内・契約・管理までほぼ一気通貫のような形で携わらせて頂きましたが、正直、手探りの部分も多く、なかなか思い通りには行きませんでした。


 そしてスタートさせたプランは、1階2部屋をスモール店舗、2階をスモールオフィス×5室というもの。


 オフィスについては近年、コワーキングスペース(シェアオフィス)が飽和状態であり、福岡の起業文化も相まって「小さくとも自分専用のオフィスを持ちたいという人が多いのでは? 」、店舗も1.8坪と7.5坪のコンパクトさで、「一人で回せる飲食店で需要があるのでは?」と、考えたのです。


▲ざっくり間取りプランを考え、建築士さんに具体的な落とし込みを依頼


 しかし、いざ蓋を開けてみれば、店舗はすぐ埋まったものの、オフィスは一部屋しか決まりません。募集から、2,3ヶ月経つと問い合わせ・内覧もだいぶ減り焦ってきました。なんてたって、募集開始前に「3ヶ月で埋まりますよ!」とオーナーさんに言ってしまっていたのです(!)


 原因のひとつとして、エアコン室外機置き場がなかなか取れないという事情から、天井にてんかせ(業務用大型エアコン)を2基設置し、また部屋自体が狭いので少しでも開放感をということで、天井空間が繋がる造りにしたこと。こうするとプライベート空間が保たれない、音が響いてしまうというデメリットも生まれます。もちろん想定はしていたことですが、これが想像以上にダメージがありました。

 部屋が埋まっていない状態でご案内するとフロア全体がシーンとしていますから、「ここで自分たちが電話してしまうと周りに迷惑がかかってしまう・・」と遠慮されてしまうのです。もちろん、それだけでなくプラン・募集内容・契約条件上の問題もあったと思います。


 そこで4月、オーナーさんに「2階はオフィスに限らず、店舗も募集しましょう!」と思い切って方針を変更。

 

 しかし、不特定多数がくる業種はセキュリティや騒音上まずいので、完全予約制の店舗。例えば美容・健康のサロンであれば特に需要があると目論みました。物販系の問い合わせも多く頂きましたが、今後のことを考えてお断りしたりとか。


 それ以外でも対策を沢山致しました。

「福岡移住計画」「福岡R不動産」など個性派不動産メディアへの掲載、SNS広告では物件だけでなくエリアやテナントの魅力が伝わるような内容を繰り返し出稿、そして賃料下げずとも、入居ハードルをがっつり下げるよう賃貸借条件の見直しも行いました。

▲SNS画像では、物件情報だけでなく、物件のストーリー、街の素敵な雰囲気も伝わるよう工夫


 そうすることで、一気ではないもののぽつぽつと埋まり始め、満室へと至ったわけですが、興味深いのはその業種です。


 セルフ写真スタジオ、鍼灸院、そして、ネイルサロンの方が3名も入って頂けたのです。元々お客さんを持っている方で、一口にネイルといってもデザインや趣向も異なりますから、営業上のバッティングは全くないとのこと。


 ワンルームのマンションや事務所物件では味気ないので、こちらを選んで頂いたそうです。デザイナーの方にお願いして元々シンプルにセンスよく部屋は作って頂いてますから、内装費用もほぼかかりませんし、入居ハードルも店舗を借りることを考えたらかなり低い。まさに途中で変更した路線がバッチリハマったというわけでした。


 しかし、満室とはいえ全く慢心はできません。


 少々特殊な物件ですから、入居者さんに快適に利用頂くためにまだまだ課題は多いです。日々考えて学ばせて頂いております。


 最後に、「watanabeCenti(渡辺サンチ)」の名前の由来はこうです。


・Centi(センチ)・・小さな単位が集合するイメージ

・私財をなげうって福岡の発展に大きく寄与し、大通りの名前の由来となった渡辺与三郎のように、大きな事業や地域貢献を生み出す産地(サンチ)となるように

・“◯◯さん家”と愛嬌のある響き


 名前を考えるのが好きな自分が突然思いつき、オーナーにゴリ押しして採用頂きました(笑)



 福岡での不動産活用プランは「あれをやったら面白いだろうなぁ」と思っているプランがまだいくつかありますので、迷われている方はお気軽にご相談ください。